壊疽した旅行者 三/ただのみきや
風もない
高密度の世界を生きる
固い土を抉じ開け
侵食する
三重苦の鉱夫
人目に晒されることもなく
着替えもしなければ
色づくこともない
土竜や蚯蚓を隣人とし
暗黒の地下世界に相応しい
蛇のような肢体をうねらせて
水脈を訪ね
探求を続ける隠者
見えるものを
見えないものが支え
見えないものもまた
見えるものにより顕現される
いのち
その在り方に人を想う
いったいどちらがどちらなのか
わたしが根差す闇は何か
河川から想う
雪解け水が河床を駆ける
円みを帯びて奔放に
段差で白く笑って見せる
光を肢体に枝垂れさせて
残雪の
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