葉桜が揺れる/朧月夜
 
今年は桜前線、
 という言葉をあまり聞かない。
桜の散るころには、
 すべてが終わってしまっているのだろう。
そんなことをなんとなく感じながら、
 世の中すべてのことが厭わしくなってしまっている。
個人的なことは、個人的なことです。
 世界には影響を与えません。
わたしたちはたった一滴の水で、
 それが波紋になることもないのでしょう。
しかしいつかはどこかにたどり着いて、
 そこにさざ波を立てることもあるのかもしれない。
世界の征服欲、という野望で、
 言葉をつづっているわけではない。
わたしの身のうちからあふれ出る言葉が、
 どうしようもなくわたしをつき動かす。

[次のページ]
戻る   Point(4)