葉桜が揺れる/朧月夜
今年は桜前線、
という言葉をあまり聞かない。
桜の散るころには、
すべてが終わってしまっているのだろう。
そんなことをなんとなく感じながら、
世の中すべてのことが厭わしくなってしまっている。
個人的なことは、個人的なことです。
世界には影響を与えません。
わたしたちはたった一滴の水で、
それが波紋になることもないのでしょう。
しかしいつかはどこかにたどり着いて、
そこにさざ波を立てることもあるのかもしれない。
世界の征服欲、という野望で、
言葉をつづっているわけではない。
わたしの身のうちからあふれ出る言葉が、
どうしようもなくわたしをつき動かす。
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