壊疽した旅行者 ニ/ただのみきや
返せば
死にたくもなる わけもなく
誇り高く生きているみなさんへ
小さな厭味の花束を
石ころ
その頃わたしたちの遊びはもっぱら石拾いで
色や形に特徴のあるものを探し出し
動物や兵隊に見立てたり
例えばとても抽象的に
青みがかった石を「湖の女神」と名付けたりして
互いに新しい石を見せ合っては
その名前や物語を話して遊んだものだ
わたしのイマジネーション
様々な感性はその頃に養われたものだろう
ある日わたしたちは一人の少年と出会った
遠い街からやって来たと言う
すぐに一緒に遊ぶようになったが
彼の持っていた石にわたしたちは目を奪われ言葉を
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