氾濫と反乱/こたきひろし
ない子供でした
だからいつも一人で遊んでいました
そんな私は
家族の中でも浮いた存在になっていました
家族同士の団欒や会話にも入れなくて
内気で無口な子供になっていました
私は家をそっと抜け出しました
嵐が過ぎ去った後の空気は新鮮で実に真っ青な空でした
家の前の細い道は直ぐに両側を田んぼに挟まれました
田んぼと田んぼの間の叢の間はかろうじて道になっていました
その方へ草を踏み分けながら入っていきました
間もなく田んぼ沿いに土手が続いてその向こう側が川でした
土手には篠竹が鬱蒼と生い茂り、他にもわけのわからない雑草が入り雑じって
視界は妨げられました
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