氾濫と反乱/こたきひろし
 
幅も狭い小さな川も
毎年の九月か十月辺りの台風シーズンには水嵩は増して川幅も広がりました
水色は濁り、上流から塵や芥を押し流して来ました

酷い時は
途中、岸辺の山肌や田んぼを削りとりました
巨大な蛇へと変貌してとぐろを巻くように激しく流れました
周辺の住民をその度に自然の怒りに茫然とさせられました

その日
台風が過ぎ去った後ですっかり天気は回復していました
私は川の様子を見たくなってしまいました
それは両親からきつく止められていましたが
怖いもの見たさを抑えきれなくなってしまいました

私は友だちのいない子供でした
友だちの出来ない子供でした
友だちを作れない
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