生きてるノイズが屠るものは/ホロウ・シカエルボク
運ぶ気にならなかった、まあ、こんな時期でもあるしね…ただ少し困っているとは言えなくもない、使い込んだハードディスクが時々漏らすため息にも似たその音は、どこか迷子の子供の泣声のようにも聞こえるのだ、上手く説明は出来ないが、音量なのか、音質なのか…とにかくそこに潜んでいるなにかが、こちらにそういう印象を与えていた、迷子か―もしかしたら一番引っかかっているのはその印象なのかもしれない、世にも奇妙なナントカじゃないが、ともかくこの世は真剣に生きようとするものほど迷子になる傾向がある、そんな迷子を見て笑う連中の為に作られた世界だからだ、彼らは迷子になることはない、迷うような道に立ったことがないからだ―選択肢
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