行方知れずの抒情 五/ただのみきや
 

ブランコを揺らすこともしない
ただ遊具の傾斜角について想い巡らし
色彩と寂れ具合
風の声音 影の伸び具合
自らの公園をデザインしている

冷静に悲しみや怒りの
起伏を構築し配置する
たびたび自らの公園に訪れて
校正すべき箇所を探したりもする




日差しと暗がり

日差しは勝手に入って来るお節介者
覗き込まなければ見えない暗がりにまで
相性は悪くない
タイミングさえ悪くなければ




忘却なんて

果実も種も残さずに芯まで散った
花弁は一時の炎 消滅する 
火傷だけを残して
ボードレールの香水壜のよう
記憶を詰め込んだ
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