行方知れずの抒情 五/ただのみきや
 
ぶ子供たち
すべり台を登る子供たち
見守る母親の姿

自らの子供時代を重ね
あるいは自分の子の幼い頃を重ね
見守る親に自らを
あるいは自分の母の姿を重ね

活発な子 おっとりした子
泣いている子に
幼馴染や兄弟姉妹を重ねてみる

夕間暮れの一幕
巡る季節のエキストラたち
猫を抱くように死を膝に乗せた
老いの背中を眺めたりする

戦争のこと
震災のこと
家族の死
諸々の事実
揺れる水の傾斜度

目をつけた人の生と死と裸で抱き合い
その人の中から見渡してもみるが
もう一人の速写師がいて
鴉のように俯瞰する

その人は決してすべり台に登らない

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