行方知れずの抒情 五/ただのみきや
一目惚れなら刺されても文句は言わない
バス
バスに乗ろうと走っている人を見るのが好きだ
とくに若い女性
でも間に合わずにバスが出てしまうと
いたたまれなくて目を反らしてしまう
愛が
お札(さつ)なら気前よく使いましょう
御札(おふだ)なら心の裏に張っておきましょう
――本物かどうか?
それより用いるかどうかでしょう
負債だらけの人生だったら
ピアノ弾き
白と黒を指で叩く
跳ねる魚ゆらめく水面
ある抒情詩人
その人は公園を見つめている
ブランコで遊ぶ子
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)