Birthday Cake/ツチヤタカユキ
 

内気で、「画家になりたい」と言っては、絵ばかり描いていたシオンは、ルカやレンの似顔絵も、よく描いてくれた。
だから、ルカは、シオンが大人になったら、自動的に画家になるもんだって、思っていた。

今の留守電で、ルカは、その頃のシオンの存在を感じた。
いつものシオンの喋り方とは、違う。
あの頃のシオンを彷彿とさせる、少年のような話し方。
あの頃のシオンは、まだ今のシオンの中に生きている。
「その子まで、殺してしまわないで欲しい」と思って、ルカは、涙を浮かべる。


6. Never mind

シオンは、目覚めると、真っ白な病院に居た。
病院のベッドのシーツが、暖かくシ
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