Birthday Cake/ツチヤタカユキ
 
みがひりついて、心臓が泥の塊に変わって、体内を落下して腹部にぶつかって、壊れた。
涙は?をつたい、口の中に入って来た。
薄い塩味が、舌先に当たる。
ずっと、閉口していれば、土砂降りの雨に打たれても、口の中だけは、雨に濡れない。
だからこの薄い塩味の水滴は、口の中に侵入して来た初めての雨。
涙の色は、半透明で、もし幽霊が居たとしたら、きっとこんな色なんだろうなと、ルカは、思った。

その日の夜は、ひんやりとしていた。
冷蔵庫を開いた時に、?を撫でる冷風のようだ。
そんな死にそうな夜でさえ、次の日の朝が来れば、インクが出なくなったボールペンで、文字を書き続けたみたいに、次の日には、悲
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