エミューの憂鬱/竜門勇気
作られたものがこんがらがってる
遊具のある公園めいた場所から
すぐにそれほど大きいとは言えない檻に
動物がいるのが見えた
鹿、牡鹿だ
角は美しく伸びている
道端で見るより優しく弱い
二つ目の檻には孔雀のつがい
奥の方でなにやら秘密の話でもしている
三つ目は空っぽ、と思ったが
奥から大きな鳥が飛び出してきた
色あせた看板にエミューと書いてあった
僕がその前に立ったのは
ただ、巨大な卵を生むことで有名な
その鳥を見てみたかっただけだった
エミューは二重になった金網を挟んでこちらを見た
そして屈伸をするようにして
ふわふわとした胸をこの境界線にこすりつけながら
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