行方知れずの抒情 四/ただのみきや
たのだ
白紙に包まれた女神を
砂塵
時は微細な粒子のよう
質量は感知できないが
物質を変化させて往く
水の総量が変わらず循環しているように
一定の速さで流動し
風車を回すように時計の針を回している
これは科学的説明
神学的説明なら
砂時計は神の手で返される
ただそれだけ
「日本の弓術」に倣う
矢を射たい欲求
だが的(まと)がわからない
とりあえず目についた
物・事・人 手あたり次第
衝動的で快楽的だが
不満も不安も解消されない
己の真中を射抜けたなら
戦遊びも要らなくなるだろうに
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