画用紙の上に散らばっていくクレパス/ホロウ・シカエルボク
ことばかりだ、そのころの俺は俺自身であったはずなのに、すでに俺自身から切り離されているように思えた、それが良いことなのか、悪いことなのかもよくわからなかった、そして、俺自身がいったい誰なのかも…そんなもの、滾々と考えたらわかるやつなんて居ないのかもしれないけれど…じゃなけりゃ本屋にあんなにセラピーの本が並んでるわけはない―西日は夕暮れに変わり始めていた、そういえば、と俺は思い出した、ここに住んでいたころは夕暮れが怖くて、早いうちから電気をつけていたことを…怖がりだって両親には笑われた、でもそれは違うんだよな、と今は思う、そんなことが怖く思えるくらい、他に怖いものがなかったのだ、それは間違いない、き
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