画用紙の上に散らばっていくクレパス/ホロウ・シカエルボク
けではないだろう、動物のように、目に映るものすべてを触れたりかじったりしていただけだ、勘違いしないで欲しい、あの頃は良かったななんて話じゃない、どちらかといえば、それはいったいどこへ行ってしまったのか、という疑問符のようなものだ―特別成長や老化などを感じたことはない、むしろ自分自身の根幹はほとんど変わっていない気がした、分別だのなんだのと余計なものがくっついただけだ、それでも、記憶と呼ぶにはあまりにも曖昧なイメージしかなかったし、必死で思い出そうとしたところで思い出せることなどそんなにはなかった、原因は忘れたけれど、二階から一階へと外階段を下りる時に一度転がり落ちたことがあったななんて、そんなこと
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)