画用紙の上に散らばっていくクレパス/ホロウ・シカエルボク
 
はいつも熱のない景色ばかりがあったような気がする…ここに住んだのは短い間だった、どうして今頃になって来てみようと思ったのか、気まぐれに踊らされて電車を乗り継いで訪ねてみると、ぼろぼろの廃墟になっていた、一階の四部屋はすべてのドアが破られ好き放題に荒らされていたが、外階段が取り外されていたせいで二階は無傷に近い状態だった、どうしてそんな措置がなされたのか理解出来ないが、俺はその措置に感謝した、子供のころに何度か、階段を使わずに二階まで上ったことがあった、そのルートを思い出すことが出来なければ、俺だってここを訪ねることは出来なかっただろう―二階の鍵はすべて開いていた、俺はもうそれを不思議だとも思わなか
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