血塗れの船で果てしない海を渡れ/ホロウ・シカエルボク
 

老いた肉食獣の牙のみで作られた寝台に横たわり、遺伝子に染みついた生温かい血の記憶を弄っていると、脳味噌の隙間に瞬く光がある、針の先のような小さなそれは、けれど深くまで届くような鋭さも感じさせる、俺には理由などない、欲望は全うすることについてだけ、肉体に走る電流をイマジネイションとして捕らえるだけ、そいつを記録して、この世で最高の無用の長物を作り上げるのさ、それは確かに俺の生活を侵食する、ノーマルを犯してキチガイ沙汰を植え付ける、禍々しいグラデーションの中、俺は心を乱すことなく、そいつが教えてくれることをまた書き留めるのさ、昨夜の食事には満足出来たかい?ハイもイイエも要らない、答えなんてあてにな
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