行方知れずの抒情 ニ/ただのみきや
 

定かではないが
双生児を撃つつもりでなかったことだけは確かだった
衝撃と苦痛 恐怖と悲しみ そうして死が浸透し
一連なりの身体に共有されて往く
二人の内の一人が死に一人が生き残ったのか
もともと一人だったものが半身を失ったのか
当人にもはっきりしなかったことだろう
不幸な事故とも重大な過失とも言われた
重い刑罰を求める人々も大勢いたし
法改正とか そもそも論が語られもしたが
銃弾は無垢で過失も過ちもなく
撃ち出されたまま弾道を変えず的を射貫いたのだ
生き残ったもう一人の方も
意識不明の重体が続いていると報じられたし
二年後に自殺したという話も伝わっていたが
今に
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