行方知れずの抒情 一/ただのみきや
のリングが鈍く光る
改めて夢から物は取り出せないと思い知る
幸福の首に手をかける
幸福は美しくいつも殺すことしか出来ない
きっとこれは嫉妬というものだ
何度目だろう 鍵を失くしたのは
日常から締め出されて入れない
合鍵を作る 角を曲ればもう見えなくなる
夢物語
籠の中の鳥は歌う
果て無き空を飛ぶ夢を
樹木を巡る風の香
湖の細波煌めきを
生まれた時から籠の中
羽根を切られた鳥の歌
古い時計の裏側で
小さな蜘蛛は聞いていた
糸で綴った恋の詩
小鳥の心が掛かるなら
わたしは死んでも構わない
綴り続ける恋の詩
鳥は飛べずに
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