あの娘は灰色の中に消えた/ホロウ・シカエルボク
 
れはとても感傷的な光景だったことは間違いないけれど、僕の胸には微かに針で突かれているような痛みがあるだけだった、すべては終わっていたのだ、もう、こんなに遠くなっていた、僕たちは何か歯切れの悪いものを抱えていて、それがすべてを遅らせていただけなのだ、置き去りにされたのは僕だった、少なくとも最後の最後は―僕は堤防を眺めるのをやめて砂浜を終わりまで歩くことにした、別に他にやることもなかったし、駅へ向かうにはかなり時間をずらした方が良かった、空と海はますます暗く、重たい印象へと変わっていった、雨が降らなければいいけどな、それだけが心配事だった、どれだけ歩いても砂浜が続いているみたいだった、こんなふうに海を
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