あの娘は灰色の中に消えた/ホロウ・シカエルボク
な意味も持たなくなる、理由やきっかけについてどんな考察を提出したところでそのことにはなんの違いもなくなるのだ、先を歩いている僕は立ち止まらずに、そうしていることに気づかれないように目だけを動かして遥か向こうの水平線を眺めた、海底の砂を集めているのだろうか、ずっと同じところで浮かんでいる大きな船の影がひとつあるだけで、他には灰色がかった空と海があるだけだった、ずっと歩いていると僕はそれをありがたい景色だと思うようになっていた、そんな景色だからこんな気分なんだ、すべてをそこに押し付けて納得することが出来た、だから僕はそれ以上何も考えないで歩くことにした、こんな時には思い出があれこれと浮かんでくるのかと
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