機械的な清潔の上に横たわる混沌のあらすじ/ホロウ・シカエルボク
覚があった、注射針だ、俺はどこに居る?俺は叫んだ、あらん限りの声で、もはや詩ですらもなくなったズタズタの言語を叫び続けた、叫ぶたびに血液の塊が飛び出した、それでいいんだよ、誰かがそう言った気がした、あるいはそれは、俺の声なのかもしれなかった、そのまま叫び続けていれば何かが見える気がした、だけど俺の意識は突然延髄のあたりに吸い込まれていき、なにかを知っているかのように思えた幻覚も姿を消した、俺は真っ白な世界の中に居た―もうなにも叫ぶことが出来なかった、穏やかな風景だった、なにもかも真っ白だった、雪なのかと思った、でもそれは雪ではなかった、雪ではない、そこには、なにも存在していない、それだけのことだっ
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