サウンドとヴィジョンだけの短い夜の話/ホロウ・シカエルボク
何度も言った、原因は特定出来ないことがほとんどだと、俺はそれをただ受け止めた、他に何を言えばよかったのだろう?いくらかかってもいいから特定してくれとごねるほど財布は膨らんではいなかった、歳を取っているのだ、そんな言葉で片付ければ済むことかもしれない、でも俺はまだそれを甘んじて受け入れようとは考えていなかった、歳を取ったから、というフレーズを言い訳に使う連中が大嫌いだった、だから、俺はまだ歳を取ってはいなかった、ほんのちょっと、調子を崩しているだけさ、いくつのやつにだってあることだ、そして、耳に忍び込んでくるすべての音をおざなりに数え続けていた、そんなことになんの意味があるだろう?でも考えてみれば、
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