サウンドとヴィジョンだけの短い夜の話/ホロウ・シカエルボク
 
界の中、時おり叩かれるクラクションはボビー・キースのサックスみたいに夜の天井で跳躍した、俺は頭痛の数を数えていた、といっても、それにはきちんとした規則はなく、ただ、聞かないよりは聞いている、数えていないよりは数えているといった程度の数えかただった、とても静かな夜だった、週末の夜だというのに、誰もが腑抜けたような声を出しながらそこらを歩いていた、俺はまるで倒木のようにそんな夜に存在していた、時々眩暈のように脳味噌が頭蓋の中でぶわんと振り回された、こわばりが取れるまでストレッチをするべきだ、頭ではわかっていたが身体はそれに従う気はないようだった、近頃この身体は俺に奇妙な苦悶を押し付けてくる、医者は何度
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