詩にうつつを抜かしてなかったから/こたきひろし
俺を刺激した。
訊かれても俺は何を飲んでいいか分からなかった。
酒を飲んだ事がないのだ
代りに雇い主が答えた。「ウィスキーでいいよ。炭酸で割ってやって、俺は水で割るから」
カウンターの中からその店のマスターらしき人が出てきてオーダーされたものを運んできた。お通しをつけて。
まだ早い時間で他に客はいなかった。
「もう少ししたら、他にも女の子が出勤してきて賑やかになるから」
とマスターは言ってカウンターの中に戻った。
俺としては横にいる女の子がそのままいてくれたら、それでいいと思った。
横に座っている女の子が度々雇い主に送る視線が気にはなったけれど。
酒に慣れていな
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