明々後日の方向/ホロウ・シカエルボク
 
そいつは、まるで重要な問題について話しているみたいに思わせぶりな間をとった、それで?と俺は棒読みで訊いた、三流の推理小説みたいな会話を早く終わらせたかった、「つまりさ、俺たちは歳を取るんだ、自分で自分をどんなふうに考えていようとね、それからは逃れられないんだ」ふん、と俺は出来るだけ相槌のような感じでそう言った、「つまりさ、普通なんだよな、それが」、「へぇ」やつは少し戸惑ったような間を開けた、俺がその話に飛びついてくるとでも思ったのだろうか?「つまりさ、まず普通に生きて、人生を固める、確固たる基盤を作る」「それからでも詩を書くことは出来る」「異論はないね、それからでも書くことは出来るよ、お前の言うと
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