明々後日の方向/ホロウ・シカエルボク
 
うとおりだ」、そうだろう、とそいつは満足気な声で言った、「だから俺は、普通の人生を糞真面目に生きてみることにしたんだ」「そうか、気づきがあったようでなによりだ」、ん、とそいつは返した、俺の調子を計りかねているみたいだった、俺は話を進めることにした、「それで、なにか用事か?」ああ、と、思い出したような素っ頓狂な声、「お前いまも選挙とか行ってないのか?」行かないよ、と俺は答えた、「お前だって言ってた、あんなもんは嘘っぱちだって、政治に参加してるって自己満足を国民に与えるための無意味なペテンだって」、ああ、ああ、んんん、と、妙な揺らぎのある相槌、おそらくそいつは、そのことを忘れていたんだろう、「あのとき
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