201912第五週詩編/ただのみきや
 
美味い訳はないが
煙は美しかった
健康や長生き 
世間体よりも
自分の好みを追求する
生きづらくなる人が
増えるのか 減るのか
自殺者は
増えるのか 減るのか
自殺と尊厳死の境に緩衝地帯はあるのか
そこから月は見えるのか
満ちては欠け
欠けては満ちる
見つめる心の様を映して
天の軌道を巡る青白い死の広告塔
屋根の向こうの空白を
小さなフォントの群れが跳ねて往く
二杯目のコーヒーと
ポケット壜のウイスキー
交互に唇をあてる浮気性
本当は煙草を吸う女の仕草が好きで
吸殻の口紅もきらいじゃないが
全てではない
詩も音楽もなんだって
全てが好きなわけじゃない
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