201912第五週詩編/ただのみきや
 
ないから
多数から好かれたいとも思わない
ほんの少しの
気の合う他人と
本気と冗談の
継目ないメビウスを
まるで親友や恋人でもあるかのような
即興劇で
回し合えたら
いよいよ良い酔いで
死んでいけると
思う年の瀬
神はいまだ憐みも慎みも深く
小石があるごとに躓きながら
巨岩を登って来たが
登り切る必要すらなく
見たい景色はすでに心にある
そこからモーセやエリヤのように天に上る訳もなく
いかさまは真っ逆さま
夢想の羽根をイカロスのように散らしながら
死に様はイスカリオテ
六歳の頃に家族を捨てて旅に出る夢を見た
他人しか愛せない
激しすぎる自己愛の投影に
肉親は生臭すぎた
シェイクされることで形成される
マトリョーシカの人格を想う
なんて口八丁で
遊んでいる
遊びにこそ
本性が現れる
目のない蛇のように
よくわからないぬらぬらしたもの
絶えず脱皮を繰り返す 真実の
萎びた抜け殻だ









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