201912第五週詩編/ただのみきや
出す
翼はすっかり姿を消して
苦渋の濃淡が空の果てまで斑に続いている
気がつけば正午を回り
コーヒーよりもウイスキーがよくなった
厄介な荷物
からっぽのくせに
重くて取り扱いも難しい
ルールが隠されたゲームなのだろう
わたしはわしたちとわたしたちに
別れてもいるから
大概の人に寄り添えなくもないが
年を取るごとに面倒くさくなった
疲れたのか
我慢するのが嫌になったのか
生まれるとき忘れ物をして来た
そう書いた人もいる
蛹の中で変身し切れなかった
そんな者かもしれないが
違和感なく生きている人には
どうでも良い話だろう
二十五年ぶりに煙草を吸ってみた
美味
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