201912第四週詩編/ただのみきや
苦悩の果てに天を掻き毟る若者のような
無造作に剪定された樹木
全身に漲っていた力の全てが失せて
仮死状態に陥った旗
取り残された古いアパートをいっそう惨めに見せる
新しい賃貸マンションのキザで冷たい装い
薄曇りの白っぽさのまま暮れて往く視界を
ぼんやりと漂流し続ける無数の顔
空白の底なしの深さを恐ろしく思う
文字はそこにただ浮かんでいるだけだ
*
朝の公園のなだらかな坂の新雪を
幼子はそりで滑る
ゆるゆると ゆっくりと
途中で止まってしまうくらいに
うすい雪雲に漉された日差し
風花が舞っている
父親に押された
小さな青いそりに乗って
丸く着込ん
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