201912第四週詩編/ただのみきや
物でわたしとは性があった
やっと女の後ろ姿に手が届く距離まで近づいて
肩に手をかけようとした時
無性にお尻を触りたくなった
混乱していた 正しい終わり方を探しながら
夜のまだ浅い薄暗がりへ手を伸ばすと
わたしの手は木の枝のように見える
肩を掴むと女は振り返った
女は裸体で顔は凹凸だけの素体のようだった
愛を完了するために
わたしは心臓から凍ったバラを抜いて
女に捧げた
これは礼拝ではなかったが
ただ礼拝を模倣するような面持ちでしか
想いを表現する術がなかったのだ
たった一度
一本の凍ったバラを捧げること
自己完結すべき情念の立ち上る炎を
冷た
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