201912第四週詩編/ただのみきや
に乗せてある
もとはバーのカウンターだったような場所だ
暗い店内のガラス戸から
二十歳の頃見たような夏の陽射しが濛々として
倉庫の間の狭い路地には大麻も生えているだろう
髪の長い髭を生やした男が
Tシャツにデニムのエプロンで
取り外したストラトのネックを奥へ持って往く
なぜここにケーキがあるのか 誰が置いたのか
胡桃かスライスアーモンドか
そんなものが乗っているパウンドケーキを
音楽の気配がしない店自体が
死んだ楽器のホウロのようだと
気づいた時にはそこは何もない倉庫に変わっていた
ペンを持ったまま目を閉じて
一瞬落ちた眠り中で
互いに戸惑う 老
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