201912第四週詩編/ただのみきや
間飾られた後それらは撤去されるが
わたしは女神像を想う
本当は誰も見たことがなく
それでも絵画に彫刻に描かれ続けたもの
氷の女神像を想う
ある眼差しを透過し
ある眼差しを反射し陰影を添え
そうして美しい形を
保つことなく瞬く間に溶けて
水となって流れ去る
形を持たないものが形を持つ
身体を持つ奇跡 それは
一瞬でなければならない
永遠を模索しながら引き伸ばされて
言葉のピンで留められた概念に対し
イメージの具現化は
一瞬のゆらめきでなければならない
錯覚かと 夢かと疑うほどに
*
丸いパウンドケーキの包み紙が剥がされて
中古楽器屋の作業台に乗
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