201912第四週詩編/ただのみきや
 
枕してください
りんごを剥いてわたしの口に入れて下さい
セザンヌの 赤ではなく青いのを
そうして見下ろして下さい
ジャンヌ・デュヴァルの目で
わたしの羞恥心が痙攣して濡れるほど
サンダルウッドの煙にくるまれて
朝から遠く船出します どこかの海で
暗い荷包みのまま沈めて下さい
死んだ金糸雀が歌うように笑い
わたしの心臓に触れて 
指先でなぞって下さい 戯れのままに
充分意味深に捉えるでしょう
不埒な人間ですから



 *
雪より白いものはなにか
水より澄んだものはなにか

見えるという目隠しで
清さや聖さと結ばれたもの

大気の不浄と塵芥を含み

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