201912第三週詩編/ただのみきや
 
上る音
起き上がる意味
深く刻まれた溝
凹凸を
繋ぎ目を
目が舌先が指先が
鋭い先端が
問うように
行きつ戻りつ
図りかね
訝しむ

わたしは目を瞑り
幻を抱き寄せる
あなたではなく
わたしの中に生まれたあなたを

ことばはこころのなんでしょう
明確に定義できるものこそ仮象
混沌が秩序の母ならば
やがて溶けるようにそこへ還る

わたしたちは一枚の古いレコードを聴いている
同じ針が同じ溝を辿っている
変更もなく忠実に再現される歌声は
聞く者の心の数だけ姿を変える



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白拍子 シェイクスピア
何者でもあり何者でもない
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