比喩はままならぬ/アラガイs
 
割をひもといて少し探ってみましょう。
例えば現代詩にもっとも多くみられる傾向として、比喩がそれ自体意味を成すのか成さないのかよくわからない、意識しているのか無意識に置かれているのかはっきりと読め取れない類いの詩があります。
一般的にみてわかりやすい比喩として一例を挙げれば「胸に花片の刺青を彫りました。僕はあなたに蒼い薔薇の絵を贈ります。これは二人の誓いが永遠のものであるように。その逞しい背中に揺られては子犬のように睡るのです」拙い例えですが、この文章からちょっと普通ではない二人の関係が読み取れてきますね。それは贈り物をする恋人らしき人物の背中が逞しいと書かれてあること。そして異質な蒼い薔薇。こ
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