死はない、死はない、知らない/ホロウ・シカエルボク
ように
死はない、死はない、知らない
一時停止のボタンが押されるだけのこと
思い出せない昔まで遡ってみるだけのこと
やがてこれ見よがしな朝陽が眼球を射貫くとき
おまえはもう一度生まれたわけを知るだろう
それはけっして言葉にはなりはしないが
おまえが死ぬまでおまえのことを突き動かしてやまないだろう
世界のなかに落ちている沈黙をひとつずつ拾い上げて
おまえはそれを自分自身に変えていくだろう
あしあとのことなんて気にする必要はない
それはどんなことをしたって永遠には残れない
すべてがおまえだけを残したとき
おまえはそれでもなにかを口にしようと思うだろうか
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