死はない、死はない、知らない/ホロウ・シカエルボク
のメロディを耳にしている
手放されたものたちがすこしはなれたところに大勢で佇んで
なにをも感じない表情でこちらを眺めているみたいなメロディ
知らぬ間に貫かれている
知らぬ間に殴り飛ばされている
知らぬ間に切り刻まれている
知らぬ間に息の根を止められて
墓石に残す言葉まですでに発注されている
くちびるに滲んた血をぬぐえ
ずっとそのことが怖かったのなら
どうしていまさらそんなふうに悔しがってみせるんだ?
全身にひとつの烙印が刻まれたあどけない天使は
おまえの血の色をずっと検分していた
仕入れた食材を見つめる料理人のように
木々のしなりを確かめる木工職人のよう
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