201912第二週詩編/ただのみきや
もう少しも秘密は入りそうにありません
居心地悪かったのか
飛び出した金魚がテーブルでぴちぴち跳ねています
午後にはお茶とお菓子 夜にはお酒
お父さんは人魚とキスしたことがあるそうです
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声を嗄らして注ぎ出す歌に
走る柔肌の影
暗喩のようなあなた
わたしは目と耳を裂けるほど開き
なによりも乾くことのない傷口を無造作に晒し
まるで礼拝者が神に捧げるような面持ち
抱きしめていた
あなたの歌声を
唯一それだけが許されていた
だが歌声は風のように
両の腕をすり抜ける
傷口を激しく共鳴させながら
劇の仮面の
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