童話と実話の歪み/こたきひろし
日の繰り返しには
飽き飽きしていたのだ
誰でもかまわない
王子様があらわれて
身も心も粉々にして欲しがったのだ
刺激と快楽に溺れてしまいたかったのだ
美しさと清楚をよそおう自分を
一度は泥の海で汚してしまいたいと言う
衝動的な欲求にそそのかされて
若い漁師は人魚を生け捕りにした
人魚は若い漁師に生け捕りにされた
若い漁師は生け捕りにした美しい人魚を小舟に引き揚げると
陸に登った
人魚を抱き抱え漁師小屋に運ぶと
そのなかに寝かせて
若い漁師は人魚の口のなかにあらあらしく自分の舌をいれて
唾液を絡ませた
その時
生臭い魚の匂
いを嗅いでうっ
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