201912第一週詩編/ただのみきや
ものが溶け合って
彼岸と此岸を曖昧にする
だが覗き込めば覗き込むほど
映るのは己
プリズムのように
時計はことばの外で動いている
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土手沿いの遊歩道の低い並木の隙間から見える
微かにアーチを帯びた橋の水色の欄干にも
雪は薄く積もっている
ブランデーを注いだ角砂糖に火を点ける
ずいぶん昔に見た光景
青白い炎の揺らめき
時を忘れるために誂(あつら)えた時間が香っている
まだ朝は頬を染めたまま
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その形に切り抜いて
取り残されたような雲がある
なにに似てでもなく
おかしな美のフォ
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