幽霊の見える日、洗面所の鏡を万遍無く塗り潰して。/ホロウ・シカエルボク
んな理由で書いているんだとか、書くことによってこんなものを手に入れているんだ、とか…だけどある時、それが凄く馬鹿げたことのように思えてね、それからはあまり話さなくなった―多少、酒が入った時以外はね―ほら、ああいうときって、下らない話でも楽しく思えるじゃないか…それはともかく、そうだぜ、どれだけ語ったって、それは本当のことには辿り着かないんだ、即効性を意識するぶんだけ余計かもしれないね、そんなことにはなんの意味もない、それで自分の文章が良くなることも悪くなることもない―だったら黙って言葉を並べている方がいいってことさ…俺は歯を磨いて、寝支度を整えた、一日の休みは決まり事をこなすだけでほとんどが終わっ
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