幽霊の見える日、洗面所の鏡を万遍無く塗り潰して。/ホロウ・シカエルボク
いんだよ、脳味噌と指先に任せっきりでね、はっきりこうだと認識するのはいつも少し経ってからさ…つまり俺は一番それを目にするのが早い俺の読者ってわけだ―なあ、とにもかくにもそれについてやたらと語りたがる連中が居るだろう、そういうの、あんまり好きじゃないんだよな…理屈こねくり回したって自分が綴るもののなにかが変わるわけじゃないだろう、語りたいなら指先で存分に語るべきさ、お喋りはどこでだって疎ましがられるものだろ―まあ、俺なんか喋らな過ぎて疎ましがられてるけどね…しょうがないことさ、俺は自分のためだけの言葉でしか喋れない、なにかこう、虚しくなるんだ、無駄口をきくのはさ―昔はさ、俺だって好きだったよ、こんな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)