(だから、あなたに会うたび、ラプソディを打ち鳴らすよう)/ホロウ・シカエルボク
 
…?ゆっくり考えてみるには羽音が五月蠅過ぎる、ギチギチ、ギチギチ…おお、あの野郎、噛み千切りやがった、温い感触が眼球の裏側をゆっくりと覆っていく、とんでもない痛みだ…おれは目を閉じる、けれどそれはこらえるには無謀過ぎた、おれは気を失ってしまう―夢の中でおれはそのバッタと対峙した、そいつは歯を真っ赤に染めてこちらを見て笑っていた、ギチギチ、ギチギチ…おれは夢の中で激昂し、バッタの頭を叩き潰した、スナックを齧った時のような軽い音がして、バッタの頭部は紙のように潰れた、だから何だって言うんだ?血は流れ続ける、おれはそのことを知ってる、強烈な痛みだ、でもそれも、しばらくのあいだのことだ―おれはまた見つめる
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