(だから、あなたに会うたび、ラプソディを打ち鳴らすよう)/ホロウ・シカエルボク
 
める力を少し失うだろう、でもそれは致命的じゃない、少しづつ何かを失くしながら、失くすたびにムキになって、それまで以上に手に入れようとするだろう、この世は最高難度のアトラクション・ゲームだ、ゴールに辿り着けるのは体力の持ち主でも、知力の持ち主でもない、生きようという意地を持ったものだけが、そのラインを切ることが出来る、走ればいいというものではなく、歩けばいいというものではない、その瞬間瞬間を、確かに踏みしめていると感じられるものだけが、道の先へ行くことが出来る、ああ!イルーガルな魔法に手を染めて夜の海を漂っている、ともすれば溺れそうなその海の中は奇妙なほど暖かくて、おれはこの夜をともすればどんな叫びも残さずに眠り込んでしまうかもしれない、けれどどうだろう、右手は動かすことが出来た、ナナ・ムスクーリは歌い続けている…おれはほんの少し迷うけれど、本当はいつだって選ぶべきカードは決まっているものなのさ。


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