路地で立ち止まっていたナミ/ホロウ・シカエルボク
 
話をした
女の話をまとめるのは容易なことではなかったが
あれこれと聞いたことから察するに女は望まれぬ生まれで
路地から少し離れた家で犬のように飼われているらしかった―いや
名前があるだけ犬の方がマシだった
「夜いつもここに居るのは何故だ?」
「家、で、といれ、を、すると…ね、お、かあさんが、怒る、から」
俺はそれを聞くと何とも言えない感情が心に芽生えるのを感じた
あのね、と俺は女に言った
「俺の家を貸してやる、今日からは俺の家でといれをするといい」
本当?と女は喜んだが、すぐに気まずそうな表情になった
「でも、わたし、きたない、の、上手じゃ、ないの」
「練習、すればいい、わ
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