恋情は火になって/こたきひろし
応募しました
と
明子さんは言った
ハキハキとした物言いと快活な振る舞いが
俺の内向的で無口な正確にはほとんどそぐわなかったが
初対面から胸がときめいてしまった
店の若いマスターは即に採用を決めた
下町の洋食屋は開店間もない店で
コック見習いの俺とマスターの二人しかいなかった
明子さんは無邪気ないちめんを持っていた
と言うより
俺と言う存在を人畜無害な男なんだと
見下していたに違いなかった
ある日の夕方出勤して来ると
俺の前にやって来て
ウェイトレスの制服の背中のファスナーが引っ掛かってあがらないからあげて欲しいと頼んできた
俺はビックリして明子
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