晩鍾、狂ったように木魂するさなかで/ホロウ・シカエルボク
 
のゲートをくぐってくる誰かに、俺の血のにおいを嗅ぎつけてやってくる誰かに―それは名前や年齢や性別や性癖なんかよりもずっと、俺のことを鮮明に語ってくれる、俺はなにも遠慮する必要はない、思いつく限りのことを並べればいい、そこに誰かがあっと思うようなフレーズが隠れていれば、なお良い…俺は無駄なお喋りをするための言葉を持っていない、こんな場所に書きつけるための言葉しか…それは俺にとっては誇らしいことだ、だって、それはずっと磨かれてきたものなのだから―規制や規則、そういったものとは全く関係のない、混じりものなしの俺の在り方だから…それがなければ俺はとうの昔に、いろいろなバランスを崩していたことだろう、もしか
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