晩鍾、狂ったように木魂するさなかで/ホロウ・シカエルボク
 
しかしたらこんな歳になるまで生きては居なかったかもしれないな、父親は頭をおかしくして死んだし、弟は精神病院の一室から出て来られない…だからって俺もそうなるなんて思っちゃいないけどさ、こればっかりは自分でこうだなんて言い切れるものでもないからね―ほんの少し、誰も居ないところで誰かに話しかけられたりするけれど、それぐらいのことさ、姿があるかないかって、それぐらいのことさ…あとどれだけ生きられるかなんてまるでわからない、人生の終わりはある時突然しびれを切らして俺の喉元を掻っ切るかもしれない、もしそんな瞬間がやってきた時には、俺はなにかひとつ人生について気の利いたフレーズを残すことにしよう…あくまで声帯が傷ついて居なければ、のことだけどね…。


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